Midjourneyが突然ボディスキャナーへ?
画像生成AIの代名詞ともいえるMidjourneyが、ボディスキャナー関連技術への事業転換を示唆しているというニュースが流れてきた。正直、最初にこの話を聞いたとき、僕は「え、本当に?」と二度見した。Midjourneyといえば、アーティストやデザイナーが愛用するクリエイティブツールとして確固たる地位を築いてきた企業だ。それがなぜ今、ボディスキャナーなのか。どう考えても腑に落ちない部分がある。
もちろん、企業がピボットすること自体は珍しくない。スタートアップの世界では、市場の変化や投資家の圧力に応じて方向転換するケースは日常茶飯事だ。しかし今回の場合、そのギャップがあまりにも大きい。画像を「生成する」技術と、人体を「スキャンして読み取る」技術は、表面上は似ているようで、実際には目的も倫理的な含意もまったく異なる。
技術的な観点から見た疑問点
エンジニアとして率直に言うと、この転換には技術的なシナジーがあるようで、実はかなり薄いと感じている。確かにMidjourneyが培ってきたのは、高精度な画像認識・生成に関わるディープラーニングの技術だ。ボディスキャナーもコンピュータビジョンを活用するという意味では同じ領域に見える。しかし、空港やセキュリティ施設で使われるような本格的なボディスキャナーには、センサーハードウェアの設計、放射線や電波の制御技術、そして非常に厳格な規制への対応が求められる。ソフトウェアだけで戦えるフィールドではない。
また、仮にMidjourneyが「AIによる人体画像解析」という形でアプローチするとしても、そこには巨大な倫理的地雷が埋まっている。誰の身体データを、どのような同意のもとで、どう使うのか。GDPRや各国の個人情報保護法との兼ね合いも当然出てくる。これまでMidjourneyは著作権問題でも批判を受けてきた経緯があるだけに、さらなる倫理的リスクを抱え込む判断が果たして賢明なのかどうか、疑問が拭えない。
クリエイティブAIとしてのアイデンティティを失う危険性
僕が一番心配しているのは、Midjourneyがこれまで築いてきたブランドイメージの毀損だ。多くのクリエイターがMidjourneyに抱いているのは「自分の想像力を拡張してくれるツール」というポジティブな印象だ。しかしボディスキャナーというキーワードが加わった瞬間に、その印象は「監視技術」「プライバシー侵害」といったネガティブな連想と結びつきやすくなる。
テクノロジー企業が収益源を多様化しようとする気持ちはわかる。特にAI業界は今、莫大な計算コストと資金調達プレッシャーの中に置かれている。しかし、ユーザーからの信頼を失うコストは、短期的な収益拡大をはるかに上回ることがある。Midjourneyには、今一度自分たちが何のために存在しているのかを問い直してほしいと、一人のユーザーとして強く思う。この方向転換が本当に正しい選択なのか、続報を注意深く見守っていきたい。
